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​STEAMで学ぶ・箱トロの塗装
「STEAMで深まるナローゲージ箱トロ真ちゅうはんだ付けキット」では、真ちゅうという金属の材料にはんだ付けをして、パーツと台車を接着したら完成です。しかし、もっと作業を味わいたいという人は、「真ちゅうのパーツに塗装をする」ことで、箱トロ本来の木箱の風合いを表現するなどして、さらに楽しむこともできます。そしてその作業でも、STEAMのさまざまな知識を生かすことができます。
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着色をする前に、真ちゅうパーツの表面全体に「プライマー」という無色・透明な塗料をまんべんなく塗ります。「プライマー」(Primer)は、「なによりもまず」といった意味の「プライム」(Prime)という言葉に由来するように、塗装でなによりもまず始めに使う塗料といえます。
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プライマーを下塗りしているところ
プライマーの主な役割は、本塗り用の塗料がパーツ表面にしっかり付くようにすることにあります。もしプライマーなしに直接パーツ表面に本塗り用の塗料をほどこすと、真ちゅうと本塗り用の塗料の相性が悪い、また、真ちゅうパーツ表面に凹凸があるなどの原因により、塗料が弾かれてしまったり、やがて塗装がはがれてきてしまったりする場合があります。

そこで、プライマーを下塗りとしてほどこします。これにより、真ちゅうパーツ表面が本塗り用の塗料を付着させやすい状態にするのです。プライマーを選ぶときは、真ちゅうに対応していること、また溶剤系塗料やラッカー系塗料とよばれる本塗り用の塗料に対応していることを確認して選んでください。
プライマーなし
プライマーあり
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プライマーなしの場合とありの場合のちがい。なしだと、表面の凹凸がある上に直接、本塗りをするため、塗料が付着しにくい。プライマーを下塗りすることで本塗りの塗料が付着しやすくなる
プライマーを使うときは、あらかじめ、真ちゅうパーツ表面についているゴミや、指からの脂分などをよく拭きとっておきます。液体のプライマーを使う場合は筆を使って、スプレーのプライマーを使うときは20センチメートルほど離して、いずれも箱の外側も内側もまんべんなく塗りつけます。

なお、下塗り剤としてはプライマーのほかに「サーフェイサー」というものもあります。サーフェイサーについては「ディーゼルキットBILLYの塗装」のページをご覧ください。
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いよいよ本塗りです。ここでは本塗り用の塗料として、「溶剤系」や「ラッカー系」とよばれる種類のものを使います。

塗料にはいくつかの「系」つまり種類があります。「溶剤系」は、「塗料の色のもとである顔料や、表面を保護するための合成樹脂などのさまざまな塗膜成分を混ぜておくために、水ではなく有機溶剤とよばれる液体を使ったタイプ」を意味します。

また「ラッカー系」も、一般的に有機溶剤を使ったタイプの塗料を指し、「溶剤系」とおなじような分類のしかたで使われています。

溶剤系・ラッカー系の塗料を使う利点として、水を使ったタイプの水性系・アクリル系の塗料よりも強固に塗装できることがあります。溶剤系塗料では、さまざまな塗膜成分の溶かす作用が水性系塗料よりも強く、これにより溶剤が揮発したあとの塗膜成分の分子どうしの結びつきも強くなると考えられます。
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溶剤系・ラッカー系の塗料と水性系・アクリル系の塗料の比較。溶剤系・ラッカー系の有機溶剤が塗膜となる分子をよく溶かし、塗膜を結びつきを強くする。溶剤や水は揮発して表面から消え、残った塗膜が乾燥する
​箱トロ塗装-木肌と汚れの表現-1
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本物の箱トロは木造なので、木肌のようなざらざらした感じを出します。せっかく真ちゅうのシャープな側面なのに‥と思いつつ、厚みが出るようにラッカー系塗料を塗り重ねます。少し乾いてベタベタしてきた頃に筆を叩きつけて、凹凸感を出します。
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下地の色が乾いたら、ダークブラウンを薄めて筋に流し込むようにして色をつけます(スミ入れ)。1で塗布した凸凹をなぞると木肌の毛羽だった感じも際立ってきます。
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​3
スミ入れを3〜4回繰り返し、透明感のある汚れを作り出しましょう。
また、溶剤系・ラッカー系を塗っておけば、さらに塗装を重ねる場合、おなじ溶剤・ラッカー系のほか、ほかの系の塗料にも広く対応できます。

塗料の色については、箱型トロッコの画像を検索するなどして、自分の好みにあった色を選んでください。

注意点もあります。溶剤系塗料では、溶剤の液体にシンナーなどの体に入れると害になる成分が含まれているため、換気を十分にとりながら作業します。

塗料が濃すぎるので薄めたいときや、筆を使ったあと筆先を掃除したいときは、塗料とは別売のシンナー単体を使って塗料を溶かして落とします。

なお、有機溶剤でなく水を使った「アクリル(水性)系」の塗料については、「ディーゼルキットBILLYの塗装」のページに説明がありますのでご覧ください。
​箱トロ塗装-木肌と汚れの表現-2
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極細の筆で木目風の線を描き入れます。サッサっと筆先だけを使って手早く描き、濃く描いてしまったところは指や綿棒などで擦り、滲ませます。
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​枠や梁も塗ります。こちらも平滑に塗ろうとはせずに、ぼてぼて気味で大丈夫です。
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​木目風の線を描き入れたあと、木目を描いた塗料よりも濃い目の色で滲みや汚れ・傷に当たる模様を描き入れます。梁や枠の部分は黒で塗ったので、少しだけグレーを混ぜたホワイトを使っています。
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​ここでは内側は「鉄板を貼って補強しているタイプ」としたので、錆びた表現にしました。黒系の濃い色→焦げ茶系→赤茶系とマダラになるように塗り重ねます。
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​古びた箱トロのイメージなので、マット系のコート用スプレーをかけて完成です。
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​鉄製の箱トロにしたい場合は、筆跡が残らないように、塗料が乾く前に塗り重ねるのが大事です。その上にボテボテと塗料を置いてサビ表現を入れると、鉄の感じが際立ちます。
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箱トロの塗装バリエーションイメージ。ドライブラシのテクニックは、木目や汚れを筆先で描き込むよりもずっと手早く簡単にウェザリングが完了します。
ドライブラシをかけるとは、かすれ感を出すように塗ること。乾いた筆に塗料を付けてから、そのほとんどの塗料を拭き取り、さっと表面をかするようにして塗っていきます。

本塗りの1色目に溶剤系・ラッカー系を使っているので、ドライブラシには溶剤・ラッカー系のほか、アクリル系(水性)なども使うことができます。